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August 26, 1999 Vol. 341 No. 9

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ゾリンジャー–エリソン症候群の治癒を目的とした手術
Surgery to Cure the Zollinger–Ellison Syndrome

J.A. NORTON AND OTHERS

背景

ゾリンジャー–エリソン症候群の患者における手術の役割は,議論のあるところである.

方 法

本症候群の患者における手術の有効性を明確にするために,1981~98 年までの期間に連続して開腹術を受けた 151 例の患者の追跡調査を行った.これらの患者のうち,123 例が散発性ガストリン産生腫瘍,28 例が画像によって直径 3 cm 以上の腫瘍が確認された多発性内分泌腫瘍症 1 型であった.腫瘍の位置決定検査と機能評価検査を定期的に実施した.すべての患者に対して同類の手術プロトコールに従って手術が行われ,1986 年以降に手術を受けたすべての患者に対しては十二指腸切開術が行われた.

結 果

151 例の患者に対して,180 件の検査手術が行われた.初回手術からの平均(± SD)追跡調査期間は 8 ± 4 年間であった.ガストリン産生腫瘍は 140 例(93%)の患者に発見されたが,これらの患者には,手術を受けるために本研究の後半に組み入れられた 81 例のすべての患者が含まれていた.原発腫瘍の部位は,74 例(49%)の患者が十二指腸,36 例(24%)が膵臓であった;しかしながら,17 例(11%)の患者はリンパ節に,13 例(9%)は他の部位に原発腫瘍が発見された.また,24 例(16%)の患者では原発部位は不明であった.10 年間再発が認められなかった患者は,散発性のガストリン産生腫瘍の患者では 34%であったのに対して,多発性内分泌腫瘍症 1 型患者には 1 例もいなかった.これらの患者全体の 10 年生存率は 94%であった.

結 論

多発性内分泌腫瘍症 1 型でなく転移巣もないゾリンジャー–エリソン症候群の患者,すべてに対して,治癒の可能性がある外科的診査をすすめるべきである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 341 : 635 - 44. )