PET–CT による肺癌の術前病期分類
Preoperative Staging of Lung Cancer with Combined PET–CT
B. Fischer and Others
非小細胞肺癌(NSCLC)の迅速かつ正確な病期分類は,治療を選択するうえで不可欠である.この無作為化試験の目的は,NSCLC の術前病期分類において,電子放射断層撮影(PET)とコンピュータ断層撮影(CT)を組み合わせた PET–CT がもつ臨床効果を評価することである.
NSCLC の術前病期分類のために紹介されてきた患者を,従来の病期分類法に PET–CT を併用する群と,従来の病期分類法のみを用いる群のいずれかに無作為に割り付けた.追跡調査は死亡まで,もしくは最低 12 ヵ月行った.主要エンドポイントは,無益な開胸術の施行数とし,無益な開胸術は次のように定義した;病理学的に確認された縦隔リンパ節転移(病期 IIIA [N2])・病期 IIIB・病期 IV・良性肺病変の所見を認めた開胸術,診断的開胸術,無作為化後 1 年以内に再発または死亡した患者に対する開胸術.
2002 年 1 月~2007 年 2 月に,98 例を PET–CT 群に,91 例を従来の病期分類法群に無作為に割り付けた.両群で必須とした縦隔鏡検査は全患者の 94%に施行した.手術不能の NSCLC を有するとされたのは,PET–CT 群 38 例,従来の病期分類法群 18 例であった.開胸術を施行したのは,PET–CT 群 60 例,従来の病期分類法群 73 例であった(P=0.004).そのうち無益な開胸術を受けたのは,PET–CT 群 21 例,従来の病期分類群 38 例であった(P=0.05).妥当な開胸術の施行数と生存率は両群で同等であった.
PET–CT を NSCLC の術前病期分類法に追加することで,全開胸術施行数と無益な開胸術施行数が減少したが,全死亡率には影響がみられなかった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00867412)