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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

May 28, 2009
Vol. 360 No. 22

ORIGINAL ARTICLE

  • 異形成を伴うバレット食道に対する高周波アブレーション
    Radiofrequency Ablation in Barrett's Esophagus with Dysplasia

    異形成を伴うバレット食道の患者を対象としたこの擬手技対照無作為化試験では,高周波アブレーションを施行した患者のほうが異形成と腸上皮化生の根治率が高く,異形成の程度が進行する確率と,癌に進行する確率が低かった.有害事象には胸痛,食道狭窄などがあった.

  • 骨髄性悪性疾患における TET2 変異
    Mutation in TET2 in Myeloid Cancers

    この論文では,骨髄異形成症候群と骨髄増殖性疾患の疾患スペクトラムを示す患者における,TET2 の変異と欠失について述べている.このような患者において,TET2 の欠損は JAK2 V617F 変異とは独立していた.原始造血幹細胞で生じる欠損は,疾患の初期段階に起こる事象である.TET2 は癌抑制遺伝子の特質を備えており,骨髄異形成症候群と骨髄増殖性疾患の一部の症例では,何らかの原因となっている可能性がある.

  • 年齢,神経病理学,認知症
    Age, Neuropathology, and Dementia

    脳剖検に同意し 69~103 歳で死亡した 456 例を対象に,認知機能と加齢に関する縦断研究が行われた.アルツハイマー病の病理学的特徴と死亡時の臨床的認知症との関連は,超高齢者群で低下することが示された.たとえば,認知症と大脳新皮質の老人斑との関連についてのオッズ比は,75 歳で 8.6 であったのに対し,95 歳ではわずか 2.5 であった.

BRIEF REPORT

  • 早発恥毛患者において PAPSS2 変異を不活性化する
    Inactivating PAPSS2 Mutations in a Patient with Premature Pubarche

    デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)スルホトランスフェラーゼ(SULT2A1)は,アンドロゲン前駆物質 DHEA を活性硫酸エステル DHEAS に変換することにより,DHEA の活性アンドロゲンへの変換を阻害する.SULT2A1 は,触媒活性に 3’-ホスホアデノシン-5’-ホスホ硫酸(PAPS)を要する.この論文では,早発恥毛の女児において,ヒト PAPS シンターゼ 2 をコードする遺伝子 PAPSS2 の複合型ヘテロ接合体変異について報告している.すなわち,PAPSS2 欠損は,アンドロゲン過剰の単一遺伝子性の副腎皮質性原因であると考えられる.

CLINICAL PRACTICE

  • 慢性静脈不全と静脈瘤
    Chronic Venous Insufficiency and Varicose Veins

    52 歳の受付係の女性が,足首の潰瘍が 1 年間続いたため受診した.麻薬性鎮痛薬を 1 日 1,2 回服用し,足を高くすることで疼痛は軽減する.女性に糖尿病の既往歴はなく,喫煙歴もない.身体診察では,内果に,きれいな肉芽床を伴い,色素過剰の皮膚に囲まれた潰瘍が認められた.足の脈拍は容易に触知された.この女性をどのように評価し,治療すべきであろうか?

CURRENT CONCEPTS

  • 副腎不全の素因
    Predisposing Factors for Adrenal Insufficiency

    生命に関わる急性副腎不全を引き起こす可能性のある原因と素因のリストが増えていることを,医師は認識する必要がある.この総説では,副腎不全が原発性か,疾患・遺伝性疾患・薬物の使用・重症疾患の二次的病態であるかにかかわらず認識し,治療するための指針を示している.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 進行性の神経障害を呈する男性
    A Man with Progressive Neurologic Deficits

    30 歳の男性が,進行性の神経障害のために入院した.神経障害は 1 年前に頭痛と喚語困難とともに生じ,その後てんかん発作,認知機能障害,運動機能障害が生じた.画像検査では,主として白質,大脳基底核,脳幹に及ぶ進行性病変が認められた.陰部と口腔に有痛性の潰瘍の既往があり,関節痛を伴ったため免疫抑制薬の投与を受けていた.診断手技が行われた.

HEALTH LAW, ETHICS, AND HUMAN RIGHTS

  • 拳銃,保健,米国憲法修正第 2 条
    Handguns, Health, and the Second Amendment

    2008 年に米国最高裁判所は,市民が自衛のために拳銃を自宅で保持することを禁じたワシントン D.C. の銃規制法令が,米国憲法修正第 2 条に違反するとの判決を下した.著者らは最高裁の裁定とその意義について論じている.