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This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
June 24, 2021
Vol. 384 No. 25
This Week in the JOURNAL
ORIGINAL ARTICLES
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KRAS 変異陽性非小細胞肺癌に対する KRAS 阻害
KRAS Inhibition in NSCLC with KRAS Mutationソトラシブは,非小細胞肺癌(NSCLC)の約 13%に認められる G12C 活性化 KRAS 癌遺伝子の選択的かつ不可逆的な阻害薬である.治療歴のある KRAS p.G12C 変異陽性 NSCLC 患者 126 例を対象とした単群第 2 相試験で,37%に奏効が認められた(奏効期間中央値 11 ヵ月).患者の 1/5 にグレード 3 の毒性が認められ,主に肝酵素値異常と下痢であった.
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KRAS 阻害に対する耐性
Resistance to KRAS Inhibition早期のアダグラシブによって奏効が得られた患者,または,長期病勢安定が得られたがその後進行が認められた患者 38 例を対象とした研究で,45%で耐性獲得のさまざまな機序が明らかにされた.チロシンキナーゼ阻害薬に対する耐性とは異なり,癌細胞は KRAS 阻害を免れるために多くの機序を利用している.
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BRCA1/2 変異陽性乳癌における術後補助療法としてのオラパリブ
Adjuvant Olaparib in BRCA1/2-Mutant Breast CancerBRCA1 または BRCA2 変異陽性で疾患進行のリスクが高い乳癌患者のうち,術後補助療法として 1 年間オラパリブの投与を受ける群に割り付けられた患者では,浸潤性疾患のない 3 年生存率が 86%であったのに対し,プラセボ群に割り付けられた患者では 77%であった.副作用が原因でオラパリブを中止した患者は少数であった.
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細胞の浄化システムの遺伝的欠損
Genetic Deficit in the Cellular Sanitation Systemオートファジーは,有毒な凝集物,病原体,損傷を受けた細胞小器官を処分し,必須の代謝産物を再利用する細胞プロセスである.この研究は,オートファジーの中核をなす蛋白が不可欠であるという考えに異議を唱えている.
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直腸クラミジアの治療
Treatment of Rectal Chlamydiaオーストラリアの 5 つのセクシャルヘルスクリニックで治療中の,男性間性交渉者を対象とした無作為化比較試験で,直腸のクラミジア感染症の治療には 7 日間のドキシサイクリン療法がアジスロマイシンの単回投与よりも優れていることが認められた.
CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL
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易刺激性,意識障害,奇妙な行動を呈する男性
A Man with Irritability, Confusion, and Odd Behaviors54 歳の男性が,易刺激性,意識障害,奇妙な行動が認められるため,神経心理科外来で評価された.9 ヵ月前に癌の治療を受けており,その後慢性疼痛が出現した.今回の評価の 6 週間前,男性は無反応状態で発見され,そばには薬剤の容器があった.診断のための検査が行われた.
Videos, Images, and Multimedia
VIDEOS IN CLINICAL MEDICINE
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反復性鼻出血に対する硝酸銀による鼻腔粘膜焼灼術
Nasal Cauterization with Silver Nitrate for Recurrent Epistaxis鼻出血の大部分は孤発性であるか自然軽快するが,一般集団の約 16%では反復性であり,その多くが受診する.この動画では,反復性鼻出血の患者の評価と,硝酸銀による鼻腔粘膜焼灼術を診療室で行う場合に用いる技術を実演する.
IMAGES IN CLINICAL MEDICINE
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舌の変色
Tongue Discoloration33 歳の女性が,痛みを伴わない舌の色素沈着を訴えて受診した.コシントロピン刺激試験ではコルチゾール値の変化が不十分であり,自己免疫性副腎不全の診断がなされた.
CLINICAL PRACTICE AUDIO
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女性の腹圧性尿失禁
Stress Incontinence in Women腹圧性尿失禁は女性によくみられるが,診断される数は少ない.有効な初期介入は骨盤底筋訓練,過体重・肥満の女性では減量などである.行動療法に反応を示さない厄介な症状を有する女性に対しては,ペッサリーまたは手術(中部尿道スリング手術がもっとも一般的)という選択肢もある.
NEJM QUICK TAKE
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無症状の直腸クラミジアを治療する
Treating Asymptomatic Rectal Chlamydiaクラミジア トラコマティス(Chlamydia trachomatis)感染は世界的に頻度の高い性感染症であり,男性間性交渉者には定期的なスクリーニングが推奨されている.多くのガイドラインは,この感染症に対してドキシサイクリンの 7 日間投与またはアジスロマイシンの単回投与を推奨しているが,観察データに基づき,現在ではドキシサイクリンを第一選択薬として推奨するようガイドラインを更新した国もある.新しい研究知見が短い動画にまとめられている.
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非小細胞肺癌の転帰を改善する
Improving Outcomes in NSCLC非小細胞肺癌(NSCLC)の治療が近年進歩し,死亡率が大幅に低下している.しかし,二次治療以降の治療を受ける進行 NSCLC 患者では,奏効を示すのは 6~20%にとどまり,化学療法薬または免疫チェックポイント阻害薬を使用した場合の無増悪生存期間中央値は 2~4 ヵ月である.新しい研究知見が短い動画にまとめられている.