小児および若年成人における多発心血管危険因子とアテローム性動脈硬化症との関連
ASSOCIATION BETWEEN MULTIPLE CARDIOVASCULAR RISK FACTORS AND ATHEROSCLEROSIS IN CHILDREN AND YOUNG ADULTS
G.S. BERENSON AND OTHERS
成人では,心血管危険因子は心血管イベントに対するその作用を相互に補強する.しかし,若い人々における多発危険因子と無症候性アテローム性動脈硬化症の程度との関係に関する情報は乏しい.
われわれは,さまざまな原因,とくに外傷のために死亡した 2~39 歳の若年者 204人の剖検を行った.生前の危険因子に関するデータはこれらの人の中で 93 人について得られ,彼らをこの試験で重点的に調査した.われわれは,大動脈および冠動脈におけるアテローム性動脈硬化症の程度と危険因子とを相関させた.
大動脈および冠動脈における脂肪線条と線維様プラークの程度は,年齢とともに増加した.脂肪線条と線維様プラークとの関連は,冠動脈(r = 0.60,p<0.001)では大動脈(r = 0.23,p = 0.03)よりはるかに強かった.心血管危険因子の中では,body-mass index,収縮期および拡張期血圧,ならびに総コレステロール,トリグリセリド,低比重リポ蛋白コレステロール,および高比重リポ蛋白コレステロールの血清濃度は一つのグループとして,大動脈および冠動脈における病変の程度に強く関連した(正準相関 [変数群のあいだの相関の測定値] : r = 0.70; p<0.001).さらに,喫煙は,大動脈において線維様プラーク(喫煙者では 1.22% 対 非喫煙者では 0.12%,p = 0.02),および冠動脈血管において脂肪線条(8.27% 対 2.89%,p = 0.04)に関連する内膜表面の割合を増加させた.アテローム性動脈硬化症の程度に及ぼす多発危険因子の影響は非常に明らかであった.0,1,2,および 3 または 4 個の危険因子を有する被験者はそれぞれ,大動脈では内膜表面の 19.1%,30.3%,37.9%,および 35.0%が脂肪線条によっておおわれた(傾向に関する p = 0.01).冠状動脈では,これに対応する値はそれぞれ,脂肪線条に関して 1.3%,2.5%,7.9%および 11.0%(傾向に関する p = 0.01),そしてコラーゲン様線維様プラークに関して 0.6%,0.7%,2.4%,そして 7.2%(傾向に関する p = 0.003)であった.
これらの知見は,若年者では,心血管危険因子数が増加するにつれて,無症候性の冠動脈および大動脈アテローム性動脈硬化症の重症度が増加することを示している.