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February 5, 1998 Vol. 338 No. 6

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急性呼吸窮迫症候群における気胸とその他の空気漏出の死亡率との関係
THE RELATION OF PNEUMOTHORAX AND OTHER AIR LEAKS TO MORTALITY IN THE ACUTE RESPIRATORY DISTRESS SYNDROME

J.G. WEG AND OTHERS

背景

急性呼吸窮迫症候群の患者では,気胸およびその他の空気漏出 ― 気管気管支枝外への空気の噴出 ― は,高換気圧または高換気量が原因で,死亡率の増加に結びついているとされてきた.

方 法

われわれは,敗血症による急性呼吸窮迫症候群患者 725 人においてエアロゾル化合成界面活性剤のプロスペクティブ臨床試験からのデータを分析した.空気漏出を有しない患者の換気圧および換気量(5 日間の試験での最高値)を,気胸または何らかの空気漏出を有する患者の換気圧および換気量(合併症発症前の 16 時間および 24 時間での最高値)と比較した.

結 果

患者 50 人(6.9%)が気胸,77 人(10.6%)が気胸またはその他の空気漏出を示した.調べた換気圧または換気量では,空気漏出を有する患者と空気漏出を有しない患者とのあいだに有意差を認めなかった.30 日での総死亡率は 40.0%(95%信頼区間,36.4~43.6)であった;気胸患者の死亡率は 46.0%(95%信頼区間,32.2~59.8),そして気胸を有しない患者では,死亡率は 39.3%(95%信頼区間,35.6~43.0;p=0.35)であった.何らかの空気漏出を有する患者では,死亡率は 45.5%(95%信頼区間,34.4~56.6)そして空気漏出を有しない患者では 39.0%(95%信頼区間,35.3~42.8)(p=0.28)であった.

結 論

従来の換気圧および換気量での機械的人工換気を受けている敗血症による急性呼吸窮迫症候群患者では,高換気圧または高換気量と気胸または空気漏出の発生とのあいだに有意な相関を認めなかった.気胸またはその他の空気漏出は,死亡率の有意な増加には関連しなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 341 - 6. )