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February 5, 1998 Vol. 338 No. 6

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自然災害後の自殺
SUICIDE AFTER NATURAL DISASTERS

E.G. KRUG AND OTHERS

背景

洪水,地震,そしてハリケーンの犠牲者の中には,外傷後ストレス障害および抑うつの発生が増加しており,これらは自殺を考える危険因子である.われわれは本調査を実施して,自然災害が自殺率に影響を及ぼすか否かを明らかにした.

方 法

アメリカ政府が 1982~89 年のあいだに連邦災害であると公表したすべての出来事の一覧から,われわれはその期間に発生した単一の自然災害によってそれぞれが影響を受けた 377 郡を選択した.災害前の 36 ヵ月間と災害後の 48 ヵ月間の自殺に関するデータを収集し,そのデータを災害月前後に並べた.災害のタイプに応じて合計発生率を計算した.被災郡およびアメリカ全土での災害前と災害後の自殺発生率を比較した.

結 果

洪水後の 4 年間に自殺率は 13.8%増加し,10 万人当り 12.1 から 13.8 人となった(p<0.001);ハリケーン後の 2 年間では 31.0%増加し,10 万人当り 12.0 から 15.7 人となった(p<0.001);そして地震後の 1 年間では 62.9%増加し,10 万人当り 19.2 から 31.3 人となった(p<0.001).地震後の 4 年間での 19.7%という増加は,統計学的有意ではなかった.同様にして計算したアメリカ全土での自殺率は変化がなかった.自殺率の増加は男女いずれにも,そしてすべての年齢群について認められた.竜巻または強い嵐の後では自殺率は有意に変化しなかった.

結 論

われわれの調査は,強い地震,洪水,そしてハリケーン後に自殺率が増加することを示し,大災害後の精神保健の面でのサポートの必要性を確認する.

※この論文は 1999 年 1 月 14 日に撤回されました。

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 373 - 8. )