March 19, 1998 Vol. 338 No. 12
内科入院患者におけるビタミン D 欠乏
HYPOVITAMINOSIS D IN MEDICAL INPATIENTS
M.K. THOMAS AND OTHERS
ビタミン D 欠乏症は,骨量損失および骨折の主要な危険因子である.ビタミン D 欠乏は高齢者や家に引きこもった人にしばしばみられるが,一般内科入院患者におけるビタミン D 欠乏症の有病率はわかっていない.
一般内科病棟に入院している一連の患者 290 人について,ビタミン D 摂取量,紫外線曝露,ビタミン D 欠乏の危険因子を評価し,血清中の25-ヒドロキシビタミン D 濃度,副甲状腺ホルモン濃度,カルシウムイオン濃度を測定した.
患者 164 人(57%)がビタミン D 欠乏(血清 25-ヒドロキシビタミン D 濃度,≦15 ng/mL)とみなされ,そのうち 65 人(22%)が重度のビタミン D 欠乏(血清 25-ヒドロキシビタミン D 濃度,<8 ng/mL)とみなされた.血清 25-ヒドロキシビタミン D 濃度は,副甲状腺ホルモン濃度と逆相関した.ビタミン D 摂取量が少ないこと,紫外線曝露が少ないこと,抗てんかん薬療法,腎透析,ネフローゼ症候群,高血圧症,糖尿病,冬季,血清中の副甲状腺ホルモン濃度とアルカリフォスファターゼ濃度が高いこと,血清中のカルシウムイオン濃度とアルブミン濃度が低いことは,ビタミン D 欠乏の有意な単変量予測因子であった.ビタミン D の摂取量が 1 日の推奨量より少ない患者の 66%と,1 日の推奨量より多い患者の 37%がビタミン D 欠乏であった.不適切なビタミン D 摂取,冬季,家に引きこもった状態は,多変量モデルにおけるビタミン D 欠乏の独立予測因子であった.ビタミン D 欠乏の既知の危険因子を有しない 65 歳未満の患者 77 人のサブグループでは,ビタミン D 欠乏症の有病率は 42%であった.
ビタミン D 欠乏症は,一般内科入院患者においては,ビタミン D 摂取量が 1 日の推奨量を超えている患者やビタミン D 欠乏症の明らかな危険因子を有しない患者を含め,頻度が高い.