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October 22, 1998 Vol. 339 No. 17

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非血縁ドナーからの造血幹細胞移植後の臨床転帰に及ぼすクラス I HLA 対立遺伝子不一致の影響
EFFECT OF MATCHING OF CLASS I HLA ALLELES ON CLINICAL OUTCOME AFTER TRANSPLANTATION OF HEMATOPOIETIC STEM CELLS FROM AN UNRELATED DONOR

T. SASAZUKI AND OTHERS

背景

非血縁ドナーからの造血幹細胞の移植における HLA 適合性に関する要件と個々のクラス I およびクラス II HLA 対立遺伝子を一致させることの相対的重要性はまだ,確立されていない.

方 法

HLA-A,B および DR 抗原に関してそれぞれのレシピエントと血清学的に同一である非血縁ドナーからの造血幹細胞のレシピエント 440 人において,HLA 遺伝子の 11 個の多形座での対立遺伝子のレトロスペクティブ DNA タイピングを実施した.これらのレシピエントのうち,80%が白血病; 残りはリンパ腫,骨髄形成不全,または先天性疾患であった.

結 果

多変量解析により,HLA-A 対立遺伝子の不適合性および HLA-C 対立遺伝子の不適合性が重度急性移植片対宿主病(GVHD)の独立危険因子であることが示された(HLA-A,p=0.006;HLA-C,p=0.001).HLA-A 対立遺伝子のミスマッチングは,死亡に対する独立危険因子であったが(p<0.001),HLA-C はそうではなかった.HLA-C 対立遺伝子のミスマッチングは白血病再発の有意な危険因子であった(p=0.035).HLA-B 不一致は,単変量解析では GVHD と死亡の双方について有意な危険因子であったが,多変量解析ではそうではなかった.DRB1,DQA1,DQB1,DPA1,および DPB1 座のクラス II HLA 対立遺伝子における不一致は,多変量解析において急性 GVHD または死亡の有意な危険因子として確認されなかった.

結 論

クラス I HLA 対立遺伝子のゲノムタイピングは,たとえ,ドナーが HLA-A,HLA-B,および DR 抗原に関してレシピエントと血清学的に同一であっても,非血縁ドナーからの造血幹細胞の移植の成功に実際的に役立つ.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 1177 - 85. )