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October 22, 1998 Vol. 339 No. 17

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肥大型心筋症の子供における心筋架橋形成 ― 突然死の危険因子
MYOCARDIAL BRIDGING IN CHILDREN WITH HYPERTROPHIC CARDIOMYOPATHY — A RISK FACTOR FOR SUDDEN DEATH

A.T. YETMAN, B.W. MCCRINDLE, C. MACDONALD, R.M. FREEDOM, AND R. GOW

背景

心筋架橋形成は,冠動脈の圧迫を生じる可能性があり,その結果心筋虚血が起ることが示唆されている.肥大型心筋症の子供における左冠動脈前下行枝の心筋架橋形成の臨床的重要性および予後的価値はわかっていない.われわれは,心カテーテル検査を受けた肥大型心筋症の子供における心筋架橋形成の罹患率と臨床的影響を明らかにしようと試みた.

方 法

肥大型心筋症の子供 36 人の血管造影像を再検討して,心筋架橋形成が存在するか否かを明らかにし,もし存在する場合は,心筋架橋形成によって生じた左冠動脈前下行枝の収縮期狭窄の特徴および残留拡張期圧迫時間の長さを評価した.また,これらの患者に関する臨床データを再検討した.

結 果

心筋架橋形成は患者の 10 人(28%)に存在した.左冠動脈前下行枝の圧迫は,平均(±SD)で拡張期の 50±17%持続した.架橋形成のない患者と比較すると,架橋形成を有する患者は胸痛(60% 対 19%,p=0.04),その後蘇生した心停止(50% 対 4%,p=0.004),そして心室性頻脈(80% 対 8%,p<0.001)の発生率が高かった.平均すると,架橋形成を有する患者は運動時の収縮期血圧が 17±27 mmHg 低下したのに対し,架橋形成のない患者では 43±31 mmHg 上昇した(p<0.001).架橋形成を有する患者はまた,運動時の ST 部分低下がより大きく(中央値,5 対 0 mm,p=0.004),そして運動時間がより短かかった(平均,6.6±2.4 対 9.1±1.4 分,p=0.008).心電図上での心拍数に関して補正した QT 間隔の分散の程度は,架橋のある患者では架橋のない患者より大きかった(104±46 対 48±31 msec,p=0.002).肥大型心筋症の診断から 5 年後での,死亡しなかったまたは心停止したがその後蘇生した患者の割合に関する Kaplan–Meier 推計値は,架橋を有する患者で 67%,そして架橋を有しない患者では 94%であった(p=0.004).

結 論

心筋架橋形成は,肥大型心筋症の子供の転帰不良に関連する.われわれの知見は,架橋形成が心筋虚血に関連することを示唆している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 1201 - 9. )