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January 8, 1998 Vol. 338 No. 2

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カルシウムチャネル拮抗薬の論争における利害衝突
CONFLICT OF INTEREST IN THE DEBATE OVER CALCIUM-CHANNEL ANTAGONISTS

H.T. STELFOX, G. CHUA, K. O'ROURKE, AND A.S. DETSKY

背景

医師と製薬企業との財政的協力関係は,そのような関係が利害衝突をもたらす可能性があるため,議論を呼んでいる.医学教育および研究に対する企業支援がどの程度,臨床医および研究者の意見ならびに行動に影響を及ぼすかはわかっていない.カルシウムチャネル拮抗薬の安全性に関する最近の論争は,財政的利害衝突の結果を調べる機会となった.

方 法

1995 年 3 月~1996 年 9 月までに出版された英語の医学文献において,カルシウムチャネル拮抗薬の安全性に関する議論を考察する論文を調査した.論文を再検討し,カルシウムチャネル拮抗薬の使用に関して「支持する」,「中立的」,「批判的」に分類した.論文の著者に対し,カルシウムチャネル拮抗薬の製造企業および競合製品 (たとえば,β遮断薬,アンジオテンシン変換酵素阻害薬,利尿薬,硝酸塩) の製造企業の両者に関する財政的関係について質問した.著者の製薬企業との財政的関係に従って,カルシウムチャネル拮抗薬の安全性に関して著者が発表した見解を調査した.

結 果

カルシウムチャネル拮抗薬の使用を支持する著者は,中立的な著者および批判的な著者よりも,カルシウムチャネル拮抗薬の製造企業との財政的関係を有することが有意に多かった(96% 対 それぞれ,60% および 37%; p<0.001).支持する著者はまた,中立的な著者および批判的な著者よりも,その製品とは関係のない,どこかしらの製薬企業と財政的関係を有することが多かった(100% 対 それぞれ,67% および 43%;p<0.001).

結 論

われわれの結果は,カルシウムチャネル拮抗薬の安全性に関して著者が発表した見解と,製薬企業との財政的関係とのあいだに強い関連があることを証明した.医師は利害衝突に関してより強固な信念を確立する必要がある.われわれは,医薬品試験に関する論文を書く臨床医および研究者に対し,製薬企業との関係についての完全な開示を主張する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 101 - 6. )