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April 30, 1998 Vol. 338 No. 18

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転移性腎細胞癌におけるインターフェロンγ-1b とプラセボの比較
INTERFERON GAMMA-1b COMPARED WITH PLACEBO IN METASTATIC RENAL-CELL CARCINOMA

M.E. GLEAVE AND OTHERS

背景

転移性腎細胞癌に対する免疫調節薬に関する試験の多くは対照がなく,選択バイアスを受けていた.この二重盲検プラセボ対照臨床試験の目的は,組換え型ヒトインターフェロンγ-1b またはプラセボによって治療した転移性腎細胞癌患者の奏効率,疾患の進行までの期間,そして生存を比較することであった.

方 法

生検によって確認された転移性腎細胞癌患者を無作為割付けして,インターフェロンγ-1b(60 μg/m2 体表面積を週 1 回皮下投与)またはプラセボを投与した.原発腫瘍は,少なくとも 3 週間前の腎摘出術または血管梗塞によって治療した.患者の進行の証拠を放射線によって評価し,すべての反応は,治療を知らない委員が独立して再調査した.

結 果

カナダの 17 施設で,転移性腎細胞癌の患者 197 人が登録された.評価しえたのは 181 人で,91 人はインターフェロンγ-1b を投与する群,90 人はプラセボを投与する群に割り付けられていた.予後因子に関して群間のバランスはとれていた.患者全体の 2/3 が Karnofsky スコア 90 または 100 で,半数以上が 2 個以上の転移部位を示した.グレード I の毒性とグレード II の毒性は,大部分が悪寒,発熱,無力,頭痛であったが,インターフェロン群ではそれぞれ 91%と 61%で報告されたのに対し,プラセボ群ではそれぞれ 76%と 63%で報告された.生命を脅かす投与関連イベントはまれで,インターフェロン群では患者の 1%に起った.奏効率,疾患進行までの期間,生存のいずれについても,群間に有意差を認めなかった.奏効率はインターフェロン群で 4.4%(完全寛解 3.3%,部分寛解 1.1%),プラセボ群で 6.6%(完全寛解 3.3%,部分寛解 3.3%)(p=0.54)で,永続的な完全寛解率は両群とも 1%であった.疾患進行までの期間の中央値は両群とも 1.9 ヵ月(p=0.49)で,生存期間の中央値に有意差は認められなかった(インターフェロン群 12.2 ヵ月 対 プラセボ群 15.7 ヵ月,p=0.52).

結 論

インターフェロンγ-1b で治療した転移性腎細胞癌患者では,プラセボと比較して転帰に差を認めなかった.これらの結果は,免疫調節薬の有効性を無作為臨床試験で試験する必要性を強調する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 1265 - 71. )