冠動脈造影の妥当性の評価 ― 臨床医は専門家委員会と一致するか,また臨床医間で一致するか?
RATING THE APPROPRIATENESS OF CORONARY ANGIOGRAPHY — DO PRACTICING PHYSICIANS AGREE WITH AN EXPERT PANEL AND WITH EACH OTHER?
J.Z. AYANIAN, M.B. LANDRUM, S.-L.T. NORMAND, E. GUADAGNOLI, AND B.J. MCNEIL
医療の妥当性の評価は,治療の質をモニターし,不適切な治療を減少させることによって,費用を抑制し,安全性を高めるために重要である.専門家の意見が通常,妥当性の評価の中に取り入れられる.しかし,臨床医はこれらの考え方と一致しない可能性があり,医師の臨床バックグラウンドがその信念に影響を及ぼす可能性がある.
カリフォルニア州,フロリダ州,ニューヨーク州,ペンシルバニア州,およびテキサス州の内科医,家庭医,および心臓専門医 1,058 人に対し,急性心筋梗塞後の冠動脈血管造影術の妥当性を 20 項目の一般的な適応に関して評点するよう依頼した.臨床専門医 9 人もまた,確立されたコンセンサス法を用いてこれらの適応を評点した.
適応 20 項目のうち 17 項目に関して,評価を行った医師と専門家委員会の評点の中央値は,9 段階の尺度で 1 段階以内で一致した.患者の高齢は,専門家委員会による評点に負の影響を及ぼしたが,評価した医師の評点には影響を及ぼさなかった.評価した医師の多変量解析において,心臓専門医は,合併症を伴う適応症に関しては血管造影術をプライマリケア医より有意に適切と評価し,合併症を伴わない適応症では,侵襲的技法を実施した心臓専門医は,そのような技法を実施しなかった心臓医より血管造影法に対する妥当性に高い評点を与えた.合併症を伴わない適応症では,冠動脈血管形成術およびバイパス手術を行っている病院の勤務医は,他の病院の医師より血管造影法を適切と評価した.ニューヨーク州の医師および健康維持機構に雇われている医師は,他の医師より血管造影術を適切でないと評価した.
評価を行った医師は,心筋梗塞後の冠動脈血管造影術の妥当性に関してほとんどの適応について臨床専門医と一致し,よくデザインされた専門家委員会は臨床医の考えを十分に反映できることを示している.臨床医における考え方の多様性は,医療の評価には,関連する医師の一定範囲の考え方を取り入れるべきであることを示唆している.