March 12, 1998 Vol. 338 No. 11
非ステロイド性抗炎症薬に関連した潰瘍に対するオメプラゾールとミソプロストールの比較
OMEPRAZOLE COMPARED WITH MISOPROSTOL FOR ULCERS ASSOCIATED WITH NONSTEROIDAL ANTIINFLAMMATORY DRUGS
C.J. HAWKEY AND OTHERS
ミソプロストールは非ステロイド性抗炎症薬 ( NSAIDs ) の使用に関連した潰瘍に対して有効であるが,下痢および腹痛のためにしばしば耐容性が不良である.われわれは,NSAIDs に関連した潰瘍の治癒および予防におけるオメプラゾールとミソプロストールの有効性を比較した.
二重盲検試験において,われわれは,持続的 NSAID 療法を必要とし,胃または十二指腸 (またはその両方) に潰瘍または 10 ヵ所以上のびらんを有する患者 935 人を無作為割付けして,オメプラゾール 20 mg または 40 mg を毎朝,またはミソプロストール 200 m g を 1 日 4 回毎日経口投与した.患者を 4 週間,治癒が認められない場合は8 週間治療した.治療成功は,潰瘍がないこと,および各部位についてびらんが 5 個未満であること,そして軽微の消化不良として定義した.次にわれわれは,治療の成功した患者 732 人を無作為割付けし,オメプラゾール 20 mg 毎日,ミソプロストール 200 m g 1 日 2 回またはプラセボによる維持療法を 6 ヵ月間行った.
8 週目,治療が成功したのはオメプラゾール 20 mg 投与群の患者の 76% ( 308人中 233 人),オメプラゾール 40 mg 投与群の患者の 75% ( 315 人中 237 人),そしてミソプロストール投与群の患者の 71% ( 298 人中 212 人) であった.胃潰瘍の治癒率は,オメプラゾール 20 mg (オメプラゾール 40 mg ではなくて) ではミソプロストールより有意に高かった.十二指腸潰瘍患者の治癒率は,オメプラゾールのいずれの用量もミソプロストールより高かったが,びらんのみの患者の治癒率はミソプロストールで高かった.オメプラゾールによる維持治療 ( 61% ) 期間では,ミソプロストールによる維持治療 ( 48%,p = 0.001 ) より寛解患者が多く,そしていずれの薬剤もプラセボ ( 27%,p < 0.001 ) より寛解患者が多かった.ミソプロストール群では,20 mg および 40 mg オメプラゾール投与群より治癒期間での副作用が多かった (それぞれ,59%,48%,および 46% ).
NSAIDs に関連した潰瘍,びらん,および症状の総合治療成功率は,オメプラゾールの 2 投与量とミソプロストールで同程度であった.オメプラゾールによる維持治療では,ミソプロストールより再発率が低かった.オメプラゾールはミソプロストールより耐容性が良好であった.
英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 727 - 34. )