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March 26, 1998 Vol. 338 No. 13

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2 型糖尿病におけるメトホルミンとトログリタゾンの有効性および代謝への影響
EFFICACY AND METABOLIC EFFECTS OF METFORMIN AND TROGLITAZONE IN TYPE II DIABETES MELLITUS

S.E. INZUCCHI AND OTHERS

背景

非インスリン依存型(2 型)糖尿病患者は,単剤療法に対する反応性がしばしば不良であるため,これらの患者では併用療法が合理的である.われわれは,2 型糖尿病患者におけるメトホルミンとトログリタゾンの単独および併用での有効性ならびに生理学的効果を調べた.

方 法

患者 29 人を無作為割付けして,メトホルミンまたはトログリタゾンのいずれかを 3 ヵ月投与し,その後患者に両薬剤をさらに 3 ヵ月間投与した.空腹時および食後のグルコースならびにグリコシル化ヘモグロビン血漿濃度を,両治療の期間に定期的に測定した.内因性グルコース産生および末梢でのグルコースの処理能を,ベースライン時と 3 ヵ月後,そして 6 ヵ月後に測定した.

結 果

メトホルミン療法のあいだ,空腹時および食後のグルコース血漿濃度はそれぞれ,20%(58 mg/dL [3.2 mmol/L],p<0.001)および 25%(87 mg/dL [4.8 mmol/L],p<0.001)減少した.トログリタゾン療法での対応する減少はそれぞれ,20%(54 mg/dL [2.9 mmol/L ],p=0.01)および 25%(83 mg/dL [4.6 mmol/L],p<0.001)であった.内因性グルコース産生は,メトホルミン療法のあいだに平均で 19%減少したが(p=0.001),トログリタゾン療法ではこの値は不変であった(群間の比較について,p=0.04).トログリタゾン療法のあいだに,平均グルコース処理能は 54%増加し(p=0.006),メトホルミン療法のあいだでは 13%増加した(群内での比較,および群間の比較について p = 0.03).メトホルミンとトログリタゾンを併用すると,空腹時および食後のグルコース血漿濃度がさらに低下し,それぞれ 18%(41 mg/dL [2.3 mmol/L],p=0.001)および 21%(54 mg/dL [3.0 mmol/L],p<0.001)減少し,グリコシル化ヘモグロビンの平均値は 1.2%ポイント減少した.

結 論

メトホルミンとトログリタゾンは,2 型糖尿病患者における血糖コントロールに対し,同等で,相加的な有益効果を示す.メトホルミンは,主として内因性グルコース産生の減少によって作用し,トログリタゾンは末梢グルコース処理能の増加によって作用する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 867 - 72. )