March 26, 1998 Vol. 338 No. 13
ブラジルの血液透析センターでのミクロシスチン曝露後の肝不全と死亡
LIVER FAILURE AND DEATH AFTER EXPOSURE TO MICROCYSTINS AT A HEMODIALYSIS CENTER IN BRAZIL
E.M. JOCHIMSEN AND OTHERS
血液透析は一般的であるが,ときに危険を伴うことがある.ブラジルのカルアルの血液透析センター(透析センター A)で,1996 年 2 月 17 日から 20 日のあいだに,患者 130 人中 116 人(89%)に血液透析に関連した視覚障害,吐き気,および嘔吐が起った.3 月 24 日までに患者 26 人が急性肝不全のために死亡した.
症例患者は,1996 年 2 月に,透析センター A またはカルアルの他の透析センター(透析センター B)で透析を受け,急性肝不全を発症した患者として定義した.この集団発生の危険因子および発生源を明らかにするため,透析センター A で患者 130 人そして透析センター B で患者 47 人に関するコホート試験を実施し,センターの水の供給源を再調査し,水,患者の血清および死後肝組織を採取してミクロシスチンアッセイを行った.
患者 101 人(すべて透析センター A)が症例定義に合致し,50 人が死亡した.死亡した罹患患者は生存患者より高齢であった(年齢の中央値,47 歳 対 35 歳;p<0.001).さらに,火,木,土曜日の夜というスケジュールで透析を行った患者 17 人全員が病気になり,そのうち 13 人(76%)が死亡した.いずれのセンターも近隣の貯水池から水を供給されていた.しかし,透析センター B に供給された水は,処置,濾過,そして塩素殺菌されていたのに対し,透析センター A に供給された水はそうでなかった.シアノバクテリアによって産生されたミクロシスチンは,貯水池からの水と透析センター A からの水,そして症例患者の血清と肝組織に検出された.
血液透析に用いる水は,毒性物質を含むことがあり得るため,その品質は注意深くモニターしなければならない.