右室梗塞後の両室機能と生存に及ぼす再灌流の効果
EFFECT OF REPERFUSION ON BIVENTRICULAR FUNCTION AND SURVIVAL AFTER RIGHT VENTRICULAR INFARCTION
T.R. BOWERS AND OTHERS
左室梗塞患者における再灌流の有益な効果は,よく報告されているが,急性右室梗塞患者での利益は左室の場合ほど明確でない.
右室梗塞患者において,第一選択としての血管形成術が右室機能と臨床転帰を改善させるか否かを明らかにするため,急性右室梗塞患者 53 例において,血管形成術の前後に心エコー検査を実施した.
右冠動脈主幹部とその主要な右室枝における正常血流と定義した完全再灌流は,41 例(77%)で得られ,右室機能の迅速かつ著しい回復が認められた(自由壁運動のスコア [1:正常~4:障害] の平均 [±SE]:ベースライン時 3.0±0.4,3 日目 1.4±0.1;p<0.001).12 例(23%)は再灌流不成功であった.再灌流不成功は,右冠動脈主幹部の開存の有無にかかわらず,右室枝の血流回復が得られないことと定義した.再灌流不成功は,右室機能が回復しないことと関連したほか(自由壁運動のスコア:ベースライン時 3.2±0.6,3 日目 3.0±0.9;p = 0.55),持続的低血圧と低心拍出量(患者の 83%に認められたのに対し,再灌流成功例では 12%;p = 0.002),高い死亡率(58%に対し,再灌流成功例では 2%;p = 0.001)と関連した.
右室梗塞患者では,血管形成術による右冠動脈の完全再灌流により,右室機能の劇的な改善と優れた臨床転帰が得られる.対照的に,再灌流不成功は,右室機能の回復不全,血行動態障害の持続,高い死亡率に関連する.