切迫梗塞と右室梗塞の低リスクとの関連
ASSOCIATION BETWEEN PREINFARCTION ANGINA AND A LOWER RISK OF RIGHT VENTRICULAR INFARCTION
H. SHIRAKI AND OTHERS
右室梗塞は,右冠動脈の近位閉塞が原因で起る下壁心筋梗塞とともに起る.しかし,右室梗塞が起ることはまれで,この理由は不明である.
われわれは,右冠動脈閉塞によって生じた最初の急性下壁心筋梗塞患者113 人において,切迫梗塞と右室梗塞との関連をその短期転帰とともにレトロスペクティブに評価した.梗塞が起った前の週での狭心症発生時期と臨床転帰との関連もまた評価した.
切迫梗塞の欠如は,右室梗塞の発症(オッズ比,6.3;95%信頼区間,2.7~15.1;p<0.001),完全な房室ブロックの発症(オッズ比,3.6;95%信頼区間,1.4~10.3; p = 0.01),そして低血圧症とショックの同時発症(オッズ比,12.4;95%信頼区間,4.5~40.6;p<0.001)を予測した.梗塞前の 24~72 時間での狭心症は,右室梗塞の発生率の低下(補正オッズ比,0.2;95%信頼区間,0~0.8;p = 0.02)そして低血圧症とショックの同時発生率(補正オッズ比,0.1;95%信頼区間,0~0.5;p = 0.02)の低下にもっとも強く関連した.
切迫梗塞は,急性下壁心筋梗塞患者において,右室梗塞が起らないことの独立予測因子である.切迫梗塞が起る患者はまた,切迫梗塞がない患者より短期転帰が良好であった.