October 15, 1998 Vol. 339 No. 16
中年における良好な心血管危険因子プロファイルのメディケア費用に関する利益
BENEFIT OF A FAVORABLE CARDIOVASCULAR RISK-FACTOR PROFILE IN MIDDLE AGE WITH RESPECT TO MEDICARE COSTS
M.L. DAVIGLUS AND OTHERS
中年において心血管疾患の主要な危険因子を有しない人々は,好ましくない危険因子プロファイルを有する人より長命である.そのような低リスク状態であっても高齢になった場合に医療費が低くなるか否かはわかっていない.われわれは,「企業におけるシカゴ心臓協会検出プロジェクト」からのデータを用いて,中年における心血管疾患の低リスクと晩年でのメディケア支出との関連を評価した.
1967~73 年に調査時の年齢が 40~64 歳で,1984~94 年に生存してメディケア適用を少なくとも 2 年受けた男性 7,039 人と女性 6,757 人を調べた.心血管疾患のリスクが低いと分類された男女は,初回調査時に以下のような特徴を有する人々であった:コレステロール血清濃度<200 mg/dL(5.2 mmol/L);血圧≦120/80 mmHg;現在喫煙していない;心電図上の異常を認めない;糖尿病や心筋梗塞の既往がない.われわれは,この低リスクプロファイルを示した男性 279 人(4.0%)および女性 298 人(4.4%)のメディケア費用を,試験群の残りの人々,すなわち低リスクでない人々の費用と比較した.「ヘルスケア財政局」のメディケア受益者へのサービス料金を用いて,平均年間医療費(総費用,心血管疾患の費用,癌の費用)を推定した.
医療費の平均年間請求額は,低リスクの人でははるかに低かった ― 低リスクの男性の総請求額は,低リスクでない男性の 2/3 以下であった(その差 1,615 ドル);低リスクの女性では,請求額は低リスクでない女性の半分以下であった(その差 1,885 ドル).心血管疾患関連の請求額は,低リスクの男女では低リスクでない男女より少なく(それぞれの差額,979 ドルと 556 ドル),癌関連の請求額も同様に少なかった(それぞれの差額,134 ドルと 189 ドル).
中年時に良好な心血管リスクプロファイルを有する人々は,高齢時の平均年間メディケア請求額が少なかった.主要な心血管危険因子に関して最適な状態を有することは,長寿であるだけでなく,医療費も少なくなる可能性がある.