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December 10, 1998 Vol. 339 No. 24

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心臓移植における拒絶予防のためのフォトフェレーシス
PHOTOPHERESIS FOR THE PREVENTION OF REJECTION IN CARDIAC TRANSPLANTATION

M.L. BARR AND OTHERS

背景

フォトフェレーシス(photopheresis)は,リンパ球を光活性化合物(メトキサレン)と紫外線 A 波に曝露させた後に再注入する免疫制御療法である.われわれは,心同種異系移植片の急性拒絶の予防におけるフォトフェレーシスの安全性および有効性を評価する予備試験を実施した.

方 法

一次心臓移植レシピエントで適格な連続する 60 人を,標準的な 3 剤併用免疫抑制療法(シクロスポリン,アザチオプリン,プレドニゾン)を単独で行う群と,フォトフェレーシスと併用する群に無作為に割り付けた.フォトフェレーシスは 2 日間連続で 2 回,移植後 6 ヵ月間行うこととし,合計 24 回行った.維持免疫抑制療法,拒絶反応の定義と治療,予防的抗生物質の使用そして心生検の予定は,12 のセンター全体で統一した.心生検サンプルはすべて,中央病理研究室で盲検的に等級付けを行った.米国の 9 ヵ所のセンターで登録した患者 34 人のサブグループ(57%)の血漿を,ポリメラーゼ連鎖反応増幅によってサイトメガロウイルス DNA の有無について分析した.

結 果

6 ヵ月の追跡期間の後,患者 1 人当りの急性拒絶反応の平均数(±SD)は,標準療法群で 1.44±1.0 であったのに対し,フォトフェレーシス群では 0.91±1.0 であった(p=0.04).拒絶反応が 1 回またはなしであった患者は,フォトフェレーシス群(33 人中 27 人)では標準療法群(27 人中 14 人)より有意に多く,拒絶反応が 2 回以上であった患者は,フォトフェレーシス群(33 人中 6 人)では標準療法群の患者(27 人中 13 人)より有意に少なかった(p=0.02).最初の拒絶反応が起るまでの時間,血行力学的障害に関連した拒絶の発生率,または 6 ヵ月および 12 ヵ月での生存率には有意差を認めなかった.感染症の発生率またはタイプには有意差を認めなかったが,サイトメガロウイルス DNA はフォトフェレーシス群では標準療法群より検出率が有意に低かった(p=0.04).

結 論

この予備試験において,3 剤免疫抑制剤療法にフォトフェレーシスを併用すると,感染症の発生率を増加させることなく心拒絶のリスクが有意に低下した.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 1744 - 51. )