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December 31, 1998 Vol. 339 No. 27

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電子線コンピュータ断層撮影によって評価した冠動脈疾患に及ぼす HMG-CoA 還元酵素阻害剤の効果
EFFECT OF HMG-CoA REDUCTASE INHIBITORS ON CORONARY ARTERY DISEASE AS ASSESSED BY ELECTRON-BEAM COMPUTED TOMOGRAPHY

T.Q. CALLISTER, P. RAGGI, B. COOIL, N.J. LIPPOLIS, AND D.J. RUSSO

背景

冠動脈疾患の退縮に関する血管造影試験は侵襲的で費用が高く,それらはアテローム性動脈硬化症疾患の程度の変化のごく限られた評価ができるにすぎない.電子線コンピュータ断層撮影(CT)は非侵襲的で費用が安価である.冠動脈全体を 1 回の造影によって調べることができ,この技法により定量した冠動脈石灰化の容積は,アテローム性動脈硬化性プラーク総量と密接に相関する.

方 法

われわれは,プライマリケア医から電子線 CT のスクリーニングのために紹介されてきた冠動脈疾患の既往のない患者 149 人(男性 61%そして女性 39%;年齢範囲,32~75 歳)のレトロスペクティブ試験を実施した.患者全員にベースラインスキャンそして少なくとも 12 ヵ月後(範囲,12~15 ヵ月)の追跡評価を行った.容積測定カルシウムスコアをプラーク総量の推定値として計算した.3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルコエンザイム A(HMG-CoA)還元酵素阻害剤による治療を紹介医師の自由裁量によって開始した.低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールを連続的に測定し,カルシウム容積スコアの変化を平均 LDL コレステロール濃度と相関させた.

結 果

患者 105 人(70%)に HMG-CoA 還元酵素阻害剤による治療を行い,患者 44 人(30%)には行わなかった.追跡調査時でのカルシウム容積スコアの減少は,その最終の LDL コレステロール値が 120 mg/dL(3.10 mmol/L)未満となった治療患者 65 人(スコアの平均 [±SD] 変化,-7±23%;p=0.01)に限って認められた.無処置患者では平均 LDL コレステロール値が少なくとも 120 mg/dL で,追跡調査時では平均カルシウム容積スコアは有意に真の増加を示した(平均変化,+52±36%;p<0.001).平均 LDL コレステロール濃度が少なくとも 120 mg/dL であった治療患者 40 人は,無処置患者の増加よりは小さかったが,平均カルシウム容積スコアが測定可能な増加を認めた(平均変化,+25±22%,p<0.001).

結 論

アテローム性動脈硬化性プラークの容積が減少,安定化,または増加する程度は,HMG-CoA 還元酵素阻害剤による治療と,得られた血清 LDL コレステロール濃度に直接関連した.これらの変化は電子線 CT によって非侵襲的に測定し,カルシウム容積スコアを用いて定量することができる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 1972 - 8. )