The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

December 31, 1998 Vol. 339 No. 27

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

限局性食道癌に対する手術単独と比較した化学療法後の手術
CHEMOTHERAPY FOLLOWED BY SURGERY COMPARED WITH SURGERY ALONE FOR LOCALIZED ESOPHAGEAL CANCER

D.P. KELSEN AND OTHERS

背景

限局性の手術可能な食道癌患者に対して,術前化学療法のあとに手術を行う場合と手術単独とを比較する多施設無作為臨床試験を実施した.

方 法

化学療法群に無作為割付けした患者に対する術前化学療法は,シスプラチンとフルオロウラシルの 3 サイクルで あった.手術は 3 回目のサイクル終了後 2~4 週間目に実施した;また手術後に患者に化学療法をさらに 2 サイクル行った.手術単独群に無作為割付けした患者に,同じ手術技法を行った.主要なエンドポイントは総生存率であった.

結 果

適切なデータが得られた適格患者 440 人中 213 人を術前化学療法群に割付けし,227 人を手術単独群に割付けた.可能な試験期間の中央値である 55.4 ヵ月後では,生存率の中央値に 2 群で有意差を認めなかった;術前化学療法群の患者では 14.9 ヵ月,そして手術単独群の患者では 16.1 ヵ月であった(p=0.53).1 年目,化学療法群の患者の生存率は 59%で,手術のみの群の患者の生存率は 60%であった;2 年目,生存率はそれぞれ 35%および 37%であった.化学療法の毒性作用は忍容可能で,化学療法を行っても手術に関連した罹患率または死亡率が増加しないように思われた.扁平上皮癌と腺癌患者の生存に差を認めなかった.体重減少は転帰不良の重要な予測因子であった(p=0.03).化学療法を加えても,局所限局部位または遠位部位での再発率に変化を認めなかった.

結 論

シスプラチンとフルオロウラシルの併用による術前化学療法は,食道の類表皮癌または腺癌患者における総生存率を改善しなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 1979 - 84. )