August 27, 1998 Vol. 339 No. 9
小児急性リンパ芽球性白血病における微少残存疾患の臨床的重要性
CLINICAL SIGNIFICANCE OF MINIMAL RESIDUAL DISEASE IN CHILDHOOD ACUTE LYMPHOBLASTIC LEUKEMIA
H. CAVÈ AND OTHERS
急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療後の残存疾患を検出する意味は明確でない.
小児 ALL の完全寛解の誘導後最初の 6 ヵ月間のいくつかの時点で,検出可能な残存疾患の有無が予測的価値があるか否かを明らかにするために,11 施設でプロスペクティブ試験を実施した.T 細胞受容体または免疫グロブリン遺伝子再構成の接合部配列を,白血病細胞のクローンマーカーとして用いた.残存疾患は,競合的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アッセイによって定量した.診断時に登録し,同じ化学療法プロトコルで治療した患者 246 人中 178 人を,一つのクローン特異的プローブ(74%)または一つ以上のプローブ(26%)によって,残存疾患の有無をモニターした.追跡期間の中央値は 38 ヵ月であった.
残存白血病細胞の有無および量は,調べた各時点において早期再発のリスクと有意に相関した(p<0.001).PCR 測定により,寛解導入療法の完了後に再発するリスクが高い患者(単核骨髄細胞 2×105 個当りの残存芽球 10-2 個以上の患者),より後の時点で再発するリスクが高い患者(残存芽球 10-3 個以上の患者)が特定された.多変量解析により,免疫表現型,年齢,リスク群(標準または非常に高リスク),および診断時の白血球数と比較すると,残存疾患の有無およびレベルはもっとも強力な独立予後因子であることが示された.
寛解導入後の残存白血病は小児 ALL の強力な予後因子である.PCR による残存疾患の検出は,再発のリスクがある患者の特定に用い,代替治療の検討のさいに考慮に入れるべきである.