September 3, 1998 Vol. 339 No. 10
慢性高血圧症の女性における子癇前症,胎盤早期剥離,および新生児有害転帰に対する危険因子
RISK FACTORS FOR PREECLAMPSIA, ABRUPTIO PLACENTAE, AND ADVERSE NEONATAL OUTCOMES AMONG WOMEN WITH CHRONIC HYPERTENSION
B.M. SIBAI AND OTHERS
妊娠した慢性高血圧症の女性は,子癇前症および新生児の有害転帰のリスクが高まっている.しかし,この群におけるこれらの有害事象に対する危険因子はわかっていない.
われわれは,子癇前症の予防のために,低用量アスピリンに関する多施設試験に登録した慢性高血圧症の女性 763 人の転帰に関するデータを解析した.子癇前症は,ベースラインで蛋白尿を有しない女性 682 人においては新たに発現した蛋白尿(尿中蛋白排泄≧300 mg/24 時間)として定義した.ベースラインで蛋白尿を認めた女性 81 人においては厳密な臨床基準に従って定義した.エンドポイントは母体および新生児転帰であった.
女性 763 人において,193 人(25%)が子癇前症であった.子癇前症の発生率は,ベースラインでの蛋白尿の存在による影響を受けなかった(蛋白尿の女性で 27% 対 蛋白尿のない女性で 25%)が,少なくとも 4 年間高血圧症であった女性(31% 対 22%;オッズ比,1.6;95%信頼区間,1.1~2.2)および前回の妊娠時に子癇前症であった女性(32% 対 23%;オッズ比,1.6;95%信頼区間,1.1~2.3)では,より高かった.ベースラインで蛋白尿を有する女性は,妊娠 35 週未満で早産し(36% 対 16%;オッズ比,3.1;95%信頼区間,1.8~5.3),そして妊娠令と比べて小さい新生児を出産する(23% 対 10%;オッズ比,2.8;95%信頼区間,1.6~5.0)可能性が有意に高かった.
慢性高血圧症の女性では,妊娠初期での蛋白尿の存在は,子癇前症の発症に関わりなく,新生児の有害転帰に関連する.