September 10, 1998 Vol. 339 No. 11
デクスフェンフルラミン,徐放性デクスフェンフルラミン,またはプラセボを服用した肥満患者における心臓弁異常の評価
AN ASSESSMENT OF HEART VALVE-ABNORMALITIES IN OBESE PATIENTS TAKING DEXFENFLURAMINE, SUSTAINED-RELEASE DEXFENFLURAMINE, OR PLACEBO
N.J. WEISSMAN, J.F. TIGHE, JR., J.S. GOTTDIENER, AND J.T. GWYNNE
食欲抑制薬であるフェンフルラミンは,通常フェンテルミンと併用投与されるが,心臓弁逆流に関連することが報告されている.フェンフルラミンの d-エナンチオマーであるデクスフェンフルラミンもまた,この疾患を生じる可能性があると懸念される.われわれは,徐放性デクスフェンフルラミンを通常のデクスフェンフルラミンおよびプラセボと比較する進行中の臨床試験を修正することによってこの疑問を調べることができた.
デクスフェンフルラミンに関する無作為二重盲検プラセボ対照臨床試験を,治療中断後の中央値で 1 ヵ月以内の体重過多患者 1,072 人について心エコー検査を含めるように修正した.患者(その約 80%は女性)は,デクスフェンフルラミン(患者 366 人),治験中の徐放性デクスフェンフルラミン(患者 352 人),またはプラセボ(患者 354 人)を投与するよう無作為割付けされていた.平均治療期間は 3 群のそれぞれに関して 71~72 日であった.心エコー像は盲検的に評価した.
弁逆流のすべての程度を考慮し,二つのデクスフェンフルラミン群を合わせた場合,プラセボ群と比較して,治療群では,すべての程度を含めた大動脈逆流(17.0% 対 11.8%,p = 0.03)およびすべての程度を含めた僧帽弁逆流(61.4% 対 54.4%,p = 0.01)の発生率が高かった.これらの差は主に,生理的,微量~軽度の逆流の高い発生率によるものであった.米国食品医薬品局の基準による軽度以上の大動脈弁逆流および中等度以上の僧帽弁逆流に関して解析を行うと,群間に有意差を認めな かった(p = 0.14~0.75).これらの解析により,軽度以上の大動脈逆流は,デクスフェンフルラミン群の患者の 5.0%,および徐放性デクスフェンフルラミン群の 5.8%,これら二つ治療群を合わせた場合では 5.4%,およびプラセボ群の患者の 3.6%に起ったことが示された.中等度以上の僧帽弁逆流はそれぞれ,1.7,1.8,1.8 および 1.2%に起った.軽度以上の大動脈弁逆流,中等度以上の僧帽弁逆流,またはその両者はそれぞれ,6.5%,7.3%,6.9%,および 4.5%に起った.
われわれは,デクスフェンフルラミンで治療した患者において大動脈弁および僧帽弁逆流の発生のわずかな増加を認め,逆流の程度はほとんどの症例において,生理的,微量または軽度と分類された.しかし,治療期間が短く,より長期間の治療で同じまたは異なる結果を生じるか否かは不明である.