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October 1, 1998 Vol. 339 No. 14

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筋萎縮性側索硬化症患者とその介護者の幇助自殺に対する姿勢
ATTITUDES OF PATIENTS WITH AMYOTROPHIC LATERAL SCLEROSIS AND THEIR CARE GIVERS TOWARD ASSISTED SUICIDE

L. GANZINI, W.S. JOHNSTON, B.H. MCFARLAND, S.W. TOLLE, AND M.A. LEE

背景

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は,進行性の麻痺,呼吸不全をきたし,通常,診断されてから 3~5 年以内に死にいたる神経筋疾患である.

方 法

1995~97 年のあいだにわれわれは,幇助自殺に対する患者と家族介護者の姿勢を明らかにするために,オレゴンおよびワシントン州において彼らを調査した.「何らかの状況では,私はその唯一の目的が私の人生を終わらせることである薬物の処方箋を受け取ることを考えるだろう」という声明書に同意し,そして「その唯一の目的が私の人生を終わらせることである薬物の処方箋を決して要請しないまたは受け取らないだろう」という声明書に反対であれば,患者は幇助自殺を進んで考えているとみなした.医師幇助自殺を合法化したオレゴン州尊厳死条例は,1994 年にオレゴン州の有権者によって承認されたが,この試験のためのデータ収集が完了する 1997 年 10 月まで発効しなかった.

結 果

ALS の適格患者 140 人中 100 人(71%)が試験への参加に同意し,家族介護者では 91 人が試験参加に同意した.ALS 患者の平均年齢は 54 歳であった;診断後の疾患の平均期間は 2.8 年であった.患者 56 人(56%)が幇助自殺を考えるだろうと述べ,56 人中 44 人が,「医師幇助自殺が合法であるならば,私は医師に致死薬の処方を要請するだろう」,という声明書に同意した.患者 1 人は投薬後ただちに服用し,そして 36 人は将来使用するためにとっておくだろうと述べた.幇助自殺に反対する患者と比較すると,自殺を考えている患者は男性であることが多く,高等教育を受け,あまり宗教熱心でないことが多く,回復の見込みに関する否定的なスコアが高く,QOL をより低いと採点した.91 組中 66 組(73%)では,介護者と患者は幇助自殺に対して同じ姿勢をとった.

結 論

オレゴンおよびワシントン両州では,われわれが調査した ALS 患者の大多数が幇助自殺を検討すると思われる.多くは,薬物の致死量の処方を要請後随分時を経てからその使用を企図するだろう.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 967 - 73. )