The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み
  • 目 次
  • This Week at NEJM.org

    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

July 2, 2009
Vol. 361 No. 1

ORIGINAL ARTICLES

  • 特発性膜性腎症におけるホスホリパーゼ A2 受容体
    Phospholipase A2 Receptor in Idiopathic Membranous Nephropathy

    膜性腎症患者を対象としたこの研究では,非還元条件下での糸球体抽出物中の 185 kD の糖蛋白に対する抗体が,特発性膜性腎症患者の 70%で血清検体中に認められたが,二次性膜性腎症患者の血清検体では認められなかった.この糖蛋白は,M-type ホスホリパーゼ A2 受容体(PLA2R)と同定された.PLA2R は,正常ヒト糸球体上皮細胞(ポドサイト)中,および特発性膜性腎症患者の免疫沈着物中に認められることから,PLA2R は特発性膜性腎症患者の主要な抗原であることが示唆される.

  • 高齢者における院内心肺蘇生の疫学研究
    Epidemiologic Study of In-Hospital CPR in the Elderly

    メディケア入院患者を対象としたこの縦断研究では,1992~2005 年に心肺蘇生(CPR)を受けた患者の生存率に改善はみられなかった.院内 CPR を受けた患者の全生存退院率は 18.3%であった.CPR 後の生存率は,黒人患者のほうが白人患者より低かった.

  • PET–CT による肺癌の術前病期分類
    Preoperative Staging of Lung Cancer with Combined PET–CT

    非小細胞肺癌(NSCLC)の術前病期分類について,PET–CT+従来の病期分類法を,従来の病期分類法単独と比較した.エンドポイントは各群における無益な開胸術の施行数とした(無益性の定義は,治癒の可能性がある NSCLC 以外に対する開胸).PET–CT を用いた NSCLC の術前病期分類により,開胸術の全施行数と無益な開胸術の施行数が減少することが明らかになった.

  • 1 型糖尿病におけるエナラプリルとロサルタンの有効性
    Effects of Enalapril and Losartan in Type 1 Diabetes

    この研究は,レニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬の早期投与により,糸球体中のメサンギウム容積比率に変化がみられるか,また,網膜症重症度スケールで 2 段階以上の進行が抑制されるかどうかを明らかにすることを目的として行われた.RA 系を早期に阻害しても,1 型糖尿病患者の腎症の進行は抑制されなかったが,網膜症の進行抑制には重要な効果があった.

SPECIAL ARTICLE

  • メディケア・パート D が薬剤費と医療費に及ぼす影響
    The Effect of Medicare Part D on Drug and Medical Spending

    この研究では,メディケア・パート D の導入前後における,薬剤費とその他の医療費を調査した.パート D 導入前に薬剤費に保険が適用されなかった患者では,パート D 導入後増加した薬剤費は,その他の医療費の減少によりほぼ相殺されていた.薬剤が利用しやすくなると,慢性疾患の管理が改善されるため,薬剤以外の医療費を抑制できる可能性がある.

CURRENT CONCEPTS

  • 横紋筋融解症と急性腎障害
    Rhabdomyolysis and Acute Kidney Injury

    急性横紋筋融解症の原因は,外傷,薬物,毒物,特定の感染症などである.急性腎障害は重度の横紋筋融解症でみられる危険な合併症である.この総説では,ミオグロビンが原因となる腎障害の発症機序,および予防・治療に関する最新の見解を示している.

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • 脆弱なバランス
    A Fragile Balance

    31 歳の男性が,左肩の痛みで救急部を受診した.男性は,その日の朝バックパックのショルダーストラップに足をとられて転倒し,直後に左肩周辺に激痛を覚えた.身体診察では,上腕骨頭の圧痛,痛みによる可動域制限,軋轢音が認められた.肩の X 線所見で,左上腕骨の嵌入骨折と骨減少が認められた.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 心筋細胞のクーデター
    A Coup for the Cardiomyocyte

    最近の研究により,心筋細胞は生後 1 週間を過ぎると再生しないという仮説が覆された.