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February 19, 1998 Vol. 338 No. 8

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早産児の肺疾患予防のための出生前甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン
ANTENATAL THYROTROPIN-RELEASING HORMONE TO PREVENT LUNG DISEASE IN PRETERM INFANTS

R.A. BALLARD AND OTHERS

背景

早産児では,出生前グルココルチコイド療法にもかかわらず,肺疾患の頻度が高い.出産前甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン療法の追加が,早産児の肺疾患罹患率を低下させることが報告されている.

方 法

出生前甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンに関する二重盲検プラセボ対照無作為化臨床試験において,北米の 13 施設で妊娠 30 週未満での早期陣痛発来中の女性 996 人を登録し,甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン 400 μg を 8 時間間隔で 4 回静注した.主要転帰は,出産後 28 日以前での乳児の慢性肺疾患または死亡とし,副次的転帰は,呼吸窮迫症候群と,月経開始後 36 週での慢性肺疾患または死亡とした.女性 981 人とその出生児 1,134 人から完全なデータを入手しえた.妊娠 32 週未満で出生した乳児 769 人をリスク群と定義した.

結 果

リスク治療群とプラセボ群とのあいだで,平均(±SD)出生体重(1,109±354 g 対 1,097±355 g),妊娠期間(27.9±2.1 週 対 27.9±2.1 週),性別,人種に大きな差はなかった.治療群とプラセボ群とのあいだで,呼吸窮迫症候群(66% 対 65%),28 日時点での死亡(11% 対 11%),28 日時点での慢性肺疾患または死亡(45% 対 42%),36 週時点での慢性肺疾患または死亡(32% 対 34%),その他の新生児合併症の発生率,ならびに肺疾患の重症度に有意差を認めなかった.妊娠 32 週を過ぎて出生した児の転帰についても,治療群とプラセボ群とのあいだで差はなかった.

結 論

肺疾患のリスクを有する早産児において,出生前の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンおよびグルココルチコイドの投与は,グルココルチコイド単独と同様に有益でない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 493 - 8. )