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February 19, 1998 Vol. 338 No. 8

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小児急性リンパ芽球性白血病に対する従来の化学療法と個別化化学療法との比較
CONVENTIONAL COMPARED WITH INDIVIDUALIZED CHEMOTHERAPY FOR CHILDHOOD ACUTE LYMPHOBLASTIC LEUKEMIA

W.E. EVANS AND OTHERS

背景

抗白血病剤のクリアランス速度は,急性リンパ芽球性白血病の患児のあいだで 3~10 倍異なる.われわれは,薬物クリアランスが速い患者において薬物の全身曝露が少なくならないように投与量を個別化すれば,治療転帰が改善するだろうという仮説を立てた.

方 法

新たに急性リンパ芽球性白血病と診断された患児 182 人を層化無作為割付けして,大量メトトレキサートおよびテニポシド+シタラビンを含む寛解後治療を行った.これらの薬剤の投与量は,体表面積(従来の治療群)または各患児における 3 剤のクリアランス速度(個別化治療群)に基づいた.個別化治療群では,クリアランスの急速な患児では用量を増加させ,クリアランスが非常に遅い患児では用量を減少した.

結 果

個別化投与を行った患児は,従来の投与を行った患児より全身曝露が目標範囲以下となった治療コースが有意に少なかった(各薬剤について p<0.001).B 細胞系の白血病で個別化療法を行った患児は,従来の療法を行った患児より有意に良い転帰を示した(p=0.02);5 年での持続的な完全寛解率の平均値(±SE)はそれぞれ,76±6%と 66±7%であった.T 細胞系の白血病の患児では治療による有意差を認めなかった(p=0.54).比例危険モデルでは,メトトレキサートに対する時間依存的全身曝露は,B 細胞系の白血病の患児における早期再発のリスクに有意に関連したが,テニポシドまたはシタラビンに対する時間依存的全身曝露はこれに関連しなかった.

結 論

患児の薬物クリアランス能力の説明となるメトトレキサートに対する用量補正は,B 細胞系の急性リンパ芽球性白血病の患児の転帰を改善することができる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 499 - 505. )