March 12, 1998 Vol. 338 No. 11
放射活性ヨウ素による甲状腺機能亢進症治療後の死亡率
MORTALITY AFTER THE TREATMENT OF HYPERTHYROIDISM WITH RADIOACTIVE IODINE
J.A. FRANKLYN, P. MAISONNEUVE, M.C. SHEPPARD, J. BETTERIDGE, AND P. BOYLE
甲状腺機能亢進症は多くの臓器系に影響を及ぼすが,その影響は通常可逆的と考えられている.甲状腺機能亢進症が死亡率に及ぼす長期的な影響はわかっていない.
1950~89 年のあいだに,イギリスのバーミンガムにおいて放射活性ヨウ素で治療した甲状腺機能亢進症の被験者 7,209 人のコホートにおいて,人口に基づく死亡率試験を実施した.被験者の生命状態は 1996 年 3 月 1 日に求め,死亡した被験者については死因を確認した.死因に関するデータをイングランドとウェールズの年齢別死亡率に関するデータと比較した.相対危険度の尺度として標準死亡率比を用い,死亡率に及ぼす共変数の効果は回帰分析によって評価した.
105,028 人年の追跡期間中,被験者 3,611 人が死亡した; 予想死亡数は 3,186 人であった(標準死亡率比,1.1; 95%信頼区間,1.1~1.2;p < 0.001).大腿骨骨折(26 人の死亡増加; 標準死亡率比,2.9; 95%信頼区間,2.0~3.9)とともに,甲状腺疾患(106 人の死亡増加; 標準死亡率比,24.8; 95%信頼区間,20.4~29.9),心血管疾患(240 人の死亡増加; 標準死亡率比,1.2; 95%信頼区間,1.2~1.3),そして脳血管疾患(159 人の死亡増加; 標準死亡率比,1.4; 95%信頼区間,1.2~1.5)による死亡では,リスクが増加していた.死亡率の増加は,放射性ヨウ素療法の初年ではもっとも明白で,その後減少した.
放射性ヨウ素で治療した甲状腺機能亢進患者では,すべての原因による死亡率および心血管疾患ならびに脳血管疾患,および骨折による死亡率が増加している.