September 17, 1998 Vol. 339 No. 12
全般痙攣性てんかん重積状態に対する四つの治療法の比較
A COMPARISON OF FOUR TREATMENTS FOR GENERALIZED CONVULSIVE STATUS EPILEPTICUS
D.M. TREIMAN AND OTHERS
全般痙攣性てんかん重積状態は生命の危険を伴い治療に緊急を要する事態であるが,初期治療としての最良の薬物治療は確立されていない.
以下の 4 つの静脈内投与レジメンについて,5 年間の無作為化二重盲検多施設共同試験を行った:ジアゼパム(0.15 mg/kg 体重)に続いてフェニトイン(18 mg/kg)を投与するレジメン,ロラゼパム(0.1 mg/kg)を投与するレジメン,フェノバルビタール(15 mg/kg)を投与するレジメン,フェニトイン(18 mg/kg)を投与するレジメン.患者は,明らかな全般てんかん重積状態(容易にみてとれる全般性の痙攣として定義される)と,微妙でわかりにくいてんかん重積状態(規則的な筋肉攣縮や強直性偏視のようなわずかな痙攣運動を伴う,あるいは伴わない脳波上の昏睡および発作時放電によって示される)のどちらかに分類した.治療の成否は,薬剤の投与開始後 20 分以内に運動性および脳波上のすべての発作活動が消失し,その後 40 分間にわたって発作活動が再発しなかった場合に,治療の成功とみなした.解析は,試験に登録された 570 例の全患者のデータと同様に,全般痙攣性てんかん重積状態であることが確証された 518 例のみのデータを用いた解析も行った.
384 例が,明らかな全般痙攣性てんかん重積状態と確定診断された.この群では,治療は,ロラゼパムに割り付けられた患者の 64.9%,フェノバルビタールの 58.2%,ジアゼパムとフェニトインの 55.8%,フェニトインの 43.6%で成功した(4 群全体比較で p=0.02).ロラゼパムは,フェニトインとの対比較で有意に優れていた(p=0.002).微妙でわかりにくい全般痙攣性てんかん重積状態と確定診断された 134 例では,治療の成功について治療群間に有意な差は認められなかった(治療の成功率の範囲は 7.7~24.2%).intention-to-treat 解析では,明らかなてんかん重積状態の患者(p=0.12)と微妙でわかりにくいてんかん重積状態の患者(p = 0.91)のいずれにおいても,治療群間の差は有意なものではなかった.12 時間の試験期間における発作の再発,有害反応の発現率,あるいは治療 30 日後の転帰に関しても,治療間に差は認められなかった.
明らかな全般痙攣性てんかん重積状態に対する初期の静脈内投与治療としては,ロラゼパムがフェニトインよりも有効である.ロラゼパムは,フェノバルビタールあるいはジアゼパムとフェニトインよりも有効であるというわけではないが,使用しやすい.