September 17, 1998 Vol. 339 No. 12
長期透析患者における急性心筋梗塞後の不良な長期生存
POOR LONG-TERM SURVIVAL AFTER ACUTE MYOCARDIAL INFARCTION AMONG PATIENTS ON LONG-TERM DIALYSIS
C.A. HERZOG, J.Z. MA, AND A.J. COLLINS
心血管疾患は,長期透析患者によくみられ,この集団の全死亡率の 44%を占めている.われわれは,長期に透析を受けていた米国の患者を対象として,急性心筋梗塞発症後の長期生存を評価するための試験を実施した.
1977~95 年のあいだに,腎移植療法の開始後に初発の心筋梗塞を発症して入院した透析患者を,U.S. Renal Data System(米国腎臓データシステム)のデータベースから過去に遡って抽出した.全死亡率と心臓が原因である死亡率(入院中の全死亡を含む)を生命表法から推定した.独立した予測値の生存に及ぼす影響については,合併症で調整した Cox の回帰モデルを用いて検討した.
長期にわたって透析を受けていた 34,189 例の患者における急性心筋梗塞後の全死亡率(±SE)は,1 年目が 59.3±0.3%,2 年目が 73.0±0.3%,5 年目が 89.9±0.2%であった.心臓による死亡率は,1 年目が 40.8±0.3%,2 年目が 51.8±0.3%,5 年目が 70.2±0.4%であった.高齢あるいは糖尿病の患者は,これらの特徴のない患者よりも死亡率が高かった.1990~95 年に急性心筋梗塞を発症した患者においても,この死亡という有害な転帰は一様に起っていた.さらに,心筋梗塞後の死亡率は,腎移植を受けた患者よりも長期透析患者でかなり高かった.
急性心筋梗塞を発症した透析患者では,心臓による死亡率が高く,その長期生存も不良である.